給与・労務
保育園・認定こども園の給付費 2026年度〈令和8年度〉改正まとめ
2026/06/11
保育園や認定こども園の運営に欠かせない「給付費」。
本記事では、給付費の基本についての簡単なおさらいから令和8年度のおもな改正点までを、ポイントを押さえて整理します。
1.保育園、認定こども園における給付費
保育施設にとっての給付費とは
給付費は、簡単に言うと「保育に必要な費用のうち、保護者負担以外を行政が支払う仕組み」です。
現在の子ども・子育て支援新制度のもとでは、教育・保育に必要な費用の大部分が公定価格に基づく給付費でまかなわれており、園の収入の多くが給付費で決まります。「給付費=施設の収入」といっても過言ではありません。
処遇改善等加算をはじめ、給付費の申請・使い道・配分には制度上のルールがあり、適切に管理できていないと、申請漏れ・減算・返還といったリスクにつながります。本来もらえる給付費をきちんと取得できているか、ルールに則り必要な処理ができているのかが施設にとって重要な課題となってきます。
なお、認可保育所では「委託費」、認定こども園では「施設型給付」と法律上の呼び方が異なりますが、いずれも基本構造は同じです。本記事では、両者をわかりやすく「給付費」と総称してご説明します。
給付費の金額はどう決まる?
給付費の金額は、国が定める「公定価格」をもとに決まります。公定価格は、子どもの年齢・人数・施設の定員や地域などに応じて、教育・保育に必要な費用を積み上げて算定される総額です。そこから、保護者が負担する利用者負担額を差し引いた残りが、施設に支払われる給付費となります。公定価格の計算内にある加算や減算の条件が年度によって変更されたりするため注意が必要です。

●引用元サイト・資料〈こども家庭庁〉
基礎資料(公定価格)【PDF】
2.2026年度〈令和8年度〉の主な改正ポイント
令和8年度の改正は例年と比較して見直し項目が多く、制度全体の方向性が大きく変化しているのが特徴です。背景には「必要な取り組みを行っているかどうか」を評価する仕組みや、ICT活用を前提とした制度運用への転換が進んでいることがあげられます。
主な変更点
- 安全計画の未実施に対する減算
- 経営情報報告に関する減算
- 保育ICT推進加算の創設
- 配置基準・調理体制の見直し
- 各種加算の新設・見直し など
変更点の全容については以下のPDF「全体像」でご確認いただけます。
本記事では、この中からいくつかポイントを絞って解説します。
3.安全計画の策定に関する減算〈令和8年7月より適用〉
保育施設における安全計画の策定・研修・周知が適切に行われていない場合、子ども1人あたり月1,350円の減算が適用されます。
安全計画の策定は2023年(令和5年)4月から義務化されていますが、事故や災害への対応を定めるだけでなく、訓練や研修を含めた継続的な運用が求められるものです。特に令和8年7月以降は、これらの実施状況が確認され、形だけではなく運用が適切に行われているかがより重要になります。
安全計画についておさらいする場合は以下の参考資料をご覧ください。
●引用元サイト・資料〈こども家庭庁〉
令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項>1(7)「安全計画の策定等をしていない場合」の減算の創設【PDF】P9
4.経営情報の報告に関する減算〈令和8年7月より適用〉
経営情報等の報告を行っていない場合、基本分単価の5%が減算される仕組みが新設されています。
経営情報の報告については、子ども・子育て支援法に基づき、毎事業年度終了後5か月以内に提出することが求められていますが、令和8年度の改正では、これらの提出状況が給付費に直接影響する仕組みへと強化されています。そのため、未提出や提出遅延だけでなく、内容に不備がある場合や、指摘後も適切な修正が行われない場合も減算の対象となるため、正確かつ期限内に報告する体制の整備が重要になります。
●引用元サイト・資料〈こども家庭庁〉
令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項>3(2)「経営情報等の報告を行っていない場合」の減算の創設【PDF】P15
5.保育ICT推進加算
ICTの活用による保育施設の業務改善・軽減を推進し、教育・保育の質の確保・向上を図るため、以下の加算条件全てを満たす場合にICTシステムの継続的利用に対して加算をするというものです。ICTシステムの導入自体だけでなく、実際の保育現場で運用し業務改善につながっている状況を支援します。
加算条件
- ICT活用の責任者を設置、複数人のチームで取り組む体制整備
- 4つの機能を持つICTの活用
- 登降園管理 ・・・ 「SERVE 登降園」
- 保護者連絡 ・・・ 「SERVE 連絡帳」
- 保育計画・記録 ・・・ 「SERVE 計画記録」
- キャッシュレス決済 ・・・ 「SERVE 保護者請求」
- 給付・監査の行政手続きをデジタルで行うための「保育業務施設管理プラットフォーム」、入園申請のための「保活情報連携基盤」の活用
(令和8年度にアカウント発行、令和9年度以降の活用予定の確認)
※該当する自治体がすでに利用している、または利用予定でアカウント発行が可能な状態である必要があります。 - ここdeサーチにおける施設の運営状況に関する情報の最新化
加算内容
- 幼稚園、保育所、認定こども園:30万円
- 地域型保育事業:18万円
この金額が施設ごとに一括で支給されるのではなく、園児1人あたりの単価に換算して上乗せされる仕組みとなっています。例えば保育園・こども園の場合、30万を3月初日の利用子ども数で割った金額が1人あたりの単価として加算され、結果として合計で30万円相当が支給されると考えられます。
なお、当該年度に「保育所等におけるICT化推進等事業」等の国庫補助金を活用してシステムの導入をしている場合、当該年度の加算対象外となる点は注意してください。その他の保育ICT加算の細かい例外、最新のQ&Aなどは引用元資料をご参照ください。
●引用元サイト・資料〈こども家庭庁〉
令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項>3(4)保育ICT推進加算の創設【PDF】P17
この記事で参照した資料は更新が発生しますので、最新版は以下ページをご覧ください。
子ども・子育て支援制度 > 公定価格に関する情報はこちら
6.給付費の処理における課題
このように制度の変更があると、もともと複雑な給付費の把握がより複雑になります。保育園・こども園が給付費の処理上のルールを果たすためには、次のような対応が必要です。
● 内訳把握・・・どの加算によって給付費が増減しているのかを確認する
● 配分計算・・・加算の要件に基づき、人件費などへの配分を計画・計算する
● 実績管理・・・計画通りに使われているかを確認し、記録・報告する
特に処遇改善等加算のように、職員への配分や賃金への反映が求められる項目は、制度を正しく理解したうえでの計算と管理が欠かせません。これらをExcelや手作業で行おうとすると、後からの再計算や資料の修正が必要になることもあり、担当者の負担が大きくなる要因になります。特に認定こども園は教育・保育の区分が重なる分、計算が複雑になりがちです。
サーヴでは、こうしたこども園特有の複雑な給付費計算を含め、お困りごとを解決するシステムや機能をご用意していますので、不安な点がございましたらお気軽にご相談ください。
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