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令和5年4月以降の法改正について、労務関連に関するものをまとめました。就業規則の変更や各種届出などが必要になるため、早めの準備が必要です。

1.割増賃金率の引き上げ

労働基準法〈令和5年4月1日 全事業所適用〉

労働基準法で定められている法定割増賃金率について、令和5年4月1日以降すべての事業所において割増賃金率が引き上げられます。中小企業において猶予されていた期間の満了に伴うものとなります。

  • 対象・・・月60時間を超える法定時間外労働
  • 割増賃金率・・・50%

これに伴い、以下の対応が必要となります。

  • 就業規則の変更・・・割増賃金率の追加
  • 給与計算システムの設定変更・・・支給項目の追加・変更

社会福祉法人の場合は就業規則の変更について理事会での承認を得る必要がありますので、早めに準備をしておくのが望ましいです。

給与計算上は、60時間を超える法定時間外労働について休日労働や深夜労働と同様に分けて計算をする必要があります。

例:月に65時間の法定時間外労働があった場合

  • 60時間以内の時間外労働の額 = 1時間当たりの賃金額 × 1.25 × 60時間
  • 60時間を超える時間外労働の額 = 1時間当たりの賃金額 × 1.5 × 5時間

休日労働や深夜労働との関係などもありますので、詳細は以下のサイトをご参照ください。

●引用元サイト・資料〈厚生労働省〉

改正労働基準法【PDF】

2.賃金のデジタル払い

労働基準法〈令和5年4月1日施行〉

労働基準法では、賃金の支払方法について「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められています。この原則の例外として労働者の同意を得た上で銀行などへの振込支払が認められていますが、令和5年4月1日以降はこれにデジタル払いが追加されます。

デジタル払いとは資金移動業者(いわゆる○○ペイなど)の口座への資金移動を給与受取に活用することを指します。

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、一定のニーズが見込まれることからデジタル払いが解禁された流れとなっています。

支払方法追加による事務の煩雑化と銀行口座から○○ペイ等への資金移動が現状でも容易であることを考えると、デジタル払いが普及するかどうかは疑問ではありますが、口座開設が難しい外国人労働者への支払手段などとしてはそれなりにニーズがあるのかもしれません。

デジタル払いを行うためには以下の対応が必要となります。なお、デジタル払いは義務ではないため、対応は必須ではありません。

  • 就業規則の変更・・・賃金支払方法の追加
  • 労使協定の締結・・・取扱指定資金移動業者の範囲等を記載
  • 同意書の徴収・・・デジタル払いを希望する労働者個別に留意事項等の説明等

ただし、労使協定、同意書については4月時点では資金移動業者の指定が終わっていないため対応ができません。4月以降に資金移動業者が指定申請を行い、厚生労働省の審査を経た上で指定されるため、早くとも令和5年5月以降の対応となるかと思います。

よくある質問や様式例などもありますので、詳細は以下のサイトをご参照ください。

●引用元サイト・資料〈厚生労働省〉

資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書【PDF】

3.育児休業取得状況の公表義務化

育児・介護休業法〈令和5年4月1日施行〉

育児・介護休業法の改正により、令和5年4月1日以降、従業員数1,000人超の企業は育児休業等の取得の状況年1回公表することが義務付けられます。

公表内容は、以下のいずれかになります。女性が多い職場である保育園、こども園の場合は後者のほうが選択しやすいかと思います。

  • 男性の育児休業等の取得率
  • 育児休業等と育児目的休暇の取得率

取得率の算定期間は、公表を行う日の属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度となっています。

事業年度が4月~3月の場合、令和4年4月1日~令和5年3月31日の取得率を令和5年4月1日以降に公表を行う必要があります。

インターネット等、一般の方が閲覧できる方法での公表となっているため、法人のWebサイトのほか、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」での公表が勧められています。

詳細は以下のサイトをご参照ください。

●引用元サイト・資料〈厚生労働省〉

育児・介護休業法について
育児・介護休業法改正ポイントのご案内【PDF】 P4

4.男女賃金の差異の公表義務化

女性活躍推進法〈令和4年7月8日施行〉

女性活躍推進法の改正より、令和4年7月8日以降、常用労働者300人超の企業は女性の活躍に関する情報公表項目として「男女の賃金の差異」を追加し、年1回公表することが義務付けられてます。

なお、改正前の情報公表項目は以下のとおりです。ここに男女の賃金の差異が必須項目として追加となります。

女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」 以下1~8項目から1項目選択

  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  2. 男女別の採用における競争倍率
  3. 労働者に占める女性労働者の割合
  4. 係長級にある者に占める女性労働者の割合
  5. 管理職に占める女性労働者の割合
  6. 役員に占める女性の割合
  7. 男女別の職種または雇用形態の転換実績
  8. 男女別の再雇用または中途採用の実績

職業生活と家庭生活との両立」 以下の7項目から1項目選択

  1. 男女の平均継続勤務年数の差異
  2. 10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
  3. 男女別の育児休業取得率
  4. 労働者の一月当たりの平均残業時間
  5. 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  6. 有給休暇取得率
  7. 雇用管理区分ごとの有休休暇取得率

令和4年7月8日以降に終了する事業年度の次の事業年度の開始日からおおむね3ヶ月以内に公表を行う必要があります。

事業年度が4月~3月の場合、令和4年4月1日~令和5年3月31日の男女の賃金の差異を令和5年4月~6月の間に公表を行う必要があります。

詳細は以下のサイトをご参照ください。

●引用元サイト・資料〈厚生労働〉

女性活躍推進法特集ページ
女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ【PDF】

以上、令和5年4月以降の法改正について、押さえておくべきポイントをチェックしてきました。

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